クリフォード・ギアツ逝去

ひところ、ずいぶん熱心に読んだ。「厚い記述」とか「劇場国家」とか「解釈」とか、実に刺激的でそれでいて明快で、ユーモアやアイロニーも効かせて、文章が面白かった。人類学とは、人間の対話の世界の拡大にある。そんな一節があったと思う。社会科学の中で、もっとも人間の深い理解に届きそうな学問だ、と感じていた。
闘鶏の手入れに出くわして一目散に逃げたことによって、村人にようやく受け入れられたエピソードなど、忘れがたい。『解釈人類学と反=反相対主義』が、最近読んだ本では最後だった。また読み返したくなってきた。